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プレミアム雪見酒出荷開始 [根知だより2015]

12月27日(日)午後

 今日は朝から雪が降り続いています。このまま根雪になるかもしれません。昨年よりは遅い雪ですが、一面に降り積もった雪のお蔭で明るくなりました。12月は出荷の最盛期ですが、新酒がどんどん出来上がる時期でもあります。12月5日に新酒第一号の「雪見酒」を出荷し、一昨日25日に「プレミアム雪見酒」を出荷開始しました。年内はこれでおしまいですが、新年1月にはまた「生原酒」を出荷する予定です。是非2015年産の出来栄えを新酒生酒でお楽しみ下さい。

 2015年、今年も皆さんに支えて頂いて米作り酒造りができました。厚く御礼を申し上げます。自社栽培100%を目指して13年前に米作りを始めて、今年で80%まで来ました。あともう少しというところですが、ここから先が難しいと思っています。

 米作り農業を取り巻く環境、根知谷という中山間地域の問題。優良農地をかかえ、風光明媚な農村ですが、過疎化と高齢化に抗う手立てはなかなかありません。小さな火種を持っていますが、それを消さないように細心の注意を払い、やがて目に見える形にしようと準備しています。

 2016年4月、雪解けを待って「出荷管理棟」の建設に着手します。去年の3月、自社所有林の杉林から70年生、80年生の大木を200本余り伐り出し、乾燥・製材・加工を施してきました。ここまでで2年かけました。来年から2年間に及ぶ建設工事にかかります。足かけ4年の大工事ですが、根知谷の木・土・石・職人を最大限に動員してやり遂げます。

 気の長い話です。今の時代には合いません。しかし、自然のリズムの中ではごく当たり前のことです。その当たり前のことを皆さんに見て頂きながら、私たちの仕事を進めていきたいと思います。

 2015年3月終わりに長男が大学を卒業し、4月から家に戻り新入社員として米作りをして、いま酒造りをしています。会社にとっても、渡辺家にとっても、待ちに待った後継者の帰還でした。これから若い力がこの根知谷にもっともっと集まり、活躍できるように環境整備を進めます。

 しばらく雪に埋もれた生活になりますが、また春にはお目にかかります。今年も大変お世話になりました。ありがとうございます。

 
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2015年産の新酒出荷します。 [根知だより2015]

12月2日(水)午前

 あっという間に師走です。10月1日に収穫作業を終えて、すぐに精米にかかり、10月19日から酒造りを開始しました。やや気温が高い11月を経て仕込み1号から順に新酒が出来上がっています。
 12月5日(土)から2015年産の新酒を発売します。根知谷産五百万石100%の搾りたて生酒を是非お楽しみ下さい。12月末まで出荷予定ですが、数量に限りがございます。品切れの際はご容赦下さい。自社栽培を始めてから13年目の五百万石です。
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中山間地域等直接支払制度(第4期)について [根知だより2015]

6月29日(月)午前

 何だか難しい制度のようで、農業関係者でも大部分の方々には意味が分からないでしょう。本年4月1日から始まった中山間地域の農地保全に関する助成制度(補助金)です。第3期までは20分の1勾配以上の傾斜地が対象でしたが、今回の第4期(5年間)からは100分の1勾配まで対象農地を広げて、農地の維持に農家・地域が取り組めるようにしようという政策です。

 私が耕作している下根知地区は、今回から対象地域となり、集落協定の枠組みに取り込まれ、根知地区全体の12集落でひとつの協定を結び、国に申請することとなりました。もっとも、上根知地区は第1期から第3期までこの制度の対象地域であったため、集落協定の運営ノウハウがあり、実績がありますので、我々下根知地区が100分の1勾配で加わるという形で、根知全体で農地保全に取り組める、いい体制づくりができそうです。

 で、その「中山間地域等直接支払制度」とは何か、ですが、これは平たん地、平野部の農家に対して、山地・傾斜地で農業をする農家の負担を金銭面で軽減しようとするものです。傾斜地というのは、作物にとっては好条件でも、農家の作業負担はとても大きく、作業効率はどうしても平野部にはかないません。経済性だけで切り捨てられないように、中山間地の農地を守ろうという趣旨で、農家と地域に助成しようというものです。

 農地の維持管理というのは、ほんとうに手間がかかります。今まで集落ごとに住民が協力して守ってきましたが、どんどん人はいなくなります。品質の高い米を産出する優良農地がみすみす耕作放棄されないように、何とか残された農家や地域住民で守っていくために、国の助成制度を最大限有効に活用したいものです。私自身、今回事務方として関わっていますが、根知谷の将来のためにも精一杯取り組みます。
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地鎮祭20150611 [根知だより2015]

6月12日(金)午前

 今日は梅雨らしい天気です。ジトッとしてアジサイとカタツムリがピッタリな風情。田植えから30日経過すると中干しのタイミングに入りますが、今年は比較的気温が高めに推移したため、分げつが平年より進み加減で、生育抑制をはかり、弱小分げつを最小限に抑えることが重要になります。

 昨日11日は、神官をお願いして地鎮祭を執り行いました。昨年3月から杉材の伐り出しを始め、来年28年春の着工に向けて、設計・許認可の作業を進め、晴れて建設予定地の地鎮祭の運びとなりました。工期は丸二年とかなりの長期戦を予定しています。竣工は平成30年3月末、供用開始は同4月末の予定です。

 「出荷管理棟」 現在の出荷作業場が老朽化したことと、冬の屋根雪の除雪対策を考えて、現在の機能を移転する目的で建設するものですが、基本的なコンセプトは、根知谷の木、石、土を使い、根知谷の職人の技で建てる本格木造建築です。昔はほとんどの資材を地元で調達し、建築し、補修し、長く大事に使ってきたものです。何とか、少しでも、そんな要素を取り入れて、根知谷らしい建物にしたいと思います。

 早く、安く、見栄えよく。そんな時代に逆行するようなものですが、何とかやり遂げたいものです。すでに製材され、天然乾燥している部材も、最大最長の梁になるものは12mです。80年生の杉材ですが、近寄ると自然の生命力を感じることができます。どうぞ近くに立ち寄られる時は、出荷管理棟建設予定地周辺の変化をご覧ください。

 
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2015年産の田植え [根知だより2015]

5月28日(木)午前

 今週は全国的に夏のような暑い日が続いていますが、根知谷では間近の山々に残雪がたくさんあって、強い日差しの中にも清涼感があります。

 5月24日、無事に自社栽培の田植えがすべて終了しました。振り返れば気候的には結構過酷なコンディションでした。乾いた風が吹く傾向は2年前からハッキリしていましたが、今年は気温が高くて日差しが強い。田植え前の苗にとってはあまり良くないことが多くて、移植後の経過を注意して見ていますが、今のところ大丈夫のようです。

 米作りは天候に大きく左右されますので、人間のできることは、それにどう追従するか、適切に対応できるか、ということになりますが、今年の春は今までに経験したことのないパターンでした。たぶん、確かに自然の環境が変化しているんだろうと思います。
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田植え前の仕事 [根知だより2015]

5月9日(土)午後

 あっという間にゴールデン・ウィークも終わりました。お蔭様で今日、蔵内の火入れ作業が終了し、2014年産のお酒が蔵に納まりました。田植えを間近に控えての酒造終了という、何とも忙しい酒蔵ですが、こんな風になってみると、つくづくいいもんだなあと思います。
 4月13日と15日の暴風で育苗ハウス2棟が潰されるアクシデントがありました。自社栽培13年目にして初めての経験です。グシャグシャになったハウスの片づけ作業は、組み立て以上に疲れます。修復不能なので、露地育苗に切り替えです。
 何だかんだでスタッフも大変ですが、自分たちで米作りからしているので、ある意味で不安感はありません。酒造りに必要な米と水、そして人材と設備、全部そろっています。外部から調達する資材はありますが、主要なものは自前です。
 根知谷では田植えが始まりました。弊社では15日から始まる予定ですが、私は専ら田んぼ回りの草刈りをしています。毎日毎日時間の許す限り草刈りをしていますが、広い根知谷の圃場にはほとんど人の姿が見えません。今年も多くの農家がやめました。高齢ゆえの離農です。あの湧き立つような活気にあふれた春の喧騒はありません。うちは長男が入社して、田んぼに出る若者は増えたけど・・・・。
 ひとつ文章を紹介します。山下祐介著 「地方消滅の罠」 ちくま新書
 P.152
 またその際の「自立」についての発想も問題を孕んでいるようだ。もしかすると私たちは、お金を持っている人たちが経済的に自立した人たちだと勘違いしてはいないだろうか。マネー投資家や高額貯蓄者は自立しているのだろうか。果たして彼らはこの国の存立に協力し、生産し貢献しているのか。少なくともお金を持っているのだから、どんなときも国の迷惑にならないと見る人もいるかもしれない。だが、これだけ世界は揺れ動き、天変地異が続いているのだ。お金の価値など、本当にいざというときに頼りになるものではない。
 経済的に自立している人とは、たとえ天地がひっくり返っても自分の才覚で生産し社会に貢献できる人だ。農業者や漁業者はむろん、一次二次産業に携わる人はみなその資格を備えている。そして商売をし、ものを運んで生計を立てている人々も。料理人や理容師や、看護師や介護士など、サービス業に関わる人は、こうした自立した人々がいて初めて暮らしが成り立つ。そして筆者のように情報や科学に携わるものは、さらに多くの人々の関係の上に初めて暮らすことができるのである。
 だがどうも、こうした当たり前の思考が、私たちのうちから、この数十年ですっかり失われてしまったようだ。どこかで金さえあれば何とかなると思い、金がないから不安だと思いはじめている。だが私たちはかなり深くつながりあっていて、互いに助け合っている。だからこそ、この日本という社会は健全に機能しているのである。金融破綻は確かに恐いが、それは海外との関係においてであって、国内の協力関係さえしっかりしていれば、私たちはもはや不安に思う必要はない。それほどの生産性を保ち、また互いに強く支えあう関係をつくっているのだ。だがその地道な生産や、生産する人々とのつながりがいまや実感できずに、目に見える金や経済のほうがリアルなものに感じられてしまうようだ。
 そして近年、私たちはこの確かな絆の連関を、経済効率のために崩しすぎてもきたようだ。私たちはそれを何らかの形で取り戻す必要がある。しかもなお日本という社会ではお互いに強い信頼は抱いていて、社会参加への高い志をもつ人は大勢いる。この社会にリアルに参加する、そうした国民認識を再構築できるかが、転換期を乗り切るための大きなカギになる。
 
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2015年の春は [根知だより2015]

4月4日(土)午前

 4月1日、大学を卒業した長男が入社して、農業部門のスタッフとして働き始めました。苗つくりから収穫作業まで、6か月間米作りをして、6か月間酒造りをするサイクルに入ります。自社栽培比率が80%を超え、全量自社栽培達成が射程圏内になりました。長男も即戦力としてチームに貢献してくれるものと期待しています。

 今年の春は暖かい空気と冷たい空気の入れ替わりが激しく、3月後半は気温が乱高下しました。根知谷は多くの残雪があり、日中の温度は比較的安定していますが、雪解けのスピードは例年より速い感じがしています。昨年、一昨年と冷たい大陸の風が吹いていた春とはまた違う気候パターンのようです。

 桜の開花は全国的に例年より早そうですが、西日本ではいきなり夏日になったりで、農作物には厳しい気候変動を予感させる、いやな感じです。社内では種もみの温湯消毒が始まり、育苗ハウスの組み立て、種まきと作業日程がホワイトボードに書き込まれています。どんな気候パターンにも耐える健全な苗を育てることが肝要です。言うほど容易いことではありませんが、スタッフには常にベストを尽くしてもらいます。
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甑(こしき)倒し [根知だより2015]

3月16日(月)午前

 先週の金曜日13日に無事甑倒しとなりました。毎朝釜場から蒸気が上がり、酒米の蒸し上がるいい香りが無くなりました。10月中旬から始まった仕込み作業も、これから最終の段階に移ります。毎年のことながら、無事にこの日を迎えられたこと、スタッフのみんなに感謝します。2014年産のお酒はお蔭様で順調に出来上がっております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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SUITO 春号 [根知だより2015]

3月4日(水)午前

 「新潟SUITO(粋人)」という季刊誌があります。2月28日発売の春号に弊社の取り組みが掲載されています。新潟県内の媒体なので、なかなか手に取って頂く機会は少ないかもしれませんが、「日本酒のブランド産地へ」というキャッチコピーをつけて頂き、88・89ページの見開きできれいな根知谷の写真も載せて頂いています。

 最近はいろいろなところから取材を頂き、メディアへの露出も増えてきました。今までは全くと言っていいほど関心のなかった日本酒業界紙でも取り上げられるようになって、とても有難いことだと思っております。古くは岩波書店のブックレット№745に私が書いたとおり、日本酒を製造技術だけで売るのは限界だと指摘しましたが、業界人はどこ吹く風の無関心で、原料米は単なる「材料」という感覚が主流でした(今でもそうでしょうが)。

 そうした中で、根知谷で米作りから酒造りまですべて取り組む弊社の活動を粘り強く追いかけ、取材してくれた記者や編集者の皆さんは、決して日本酒業界のプロではありませんでした。それが良かったでしょうね。日本酒の価値は、大吟醸に代表されるような製造技術が価値の裏付けですから、その常識にとらわれない人のみに見える価値が、米作りからすべてその土地で完結する酒造りにあったのです。

 地方・農村・中山間地・米作り農業、みなネガティブな方向へのカウント・ダウンが始まっていますが、私たちの取り組みは日本酒の楽しさだけでなく、雪深い田舎でもちゃんと自立的に、しかもサステイナブルな生き方ができるんだと証明しています。

 SUITO がこの春号で休刊と知りました。新潟からの情報発信はまた姿を変えて続いていくことと思います。もっともっと埋もれている情報を掘り起こしてくれると期待しています。
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スマート・テロワール [根知だより2015]

2月14日(土)午前

 2月に入って2回目の大寒波。お蔭様でまた大量の降雪になりました。酒蔵の屋根雪下ろしは、建設業者さんや工務店の皆さんにお世話になって、建物の維持管理をしていますが、今年も大量の雪を処理しています。外気温が0℃から1℃程度ですので、室内温度も4度程度で安定しています。酒造りには理想的な環境です。

 さて、「スマート・テロワール」についてですが、著者は松尾雅彦さんで、文芸出版社から出ています。概念としては普遍性のある内容で、私のように原料米から生産している日本酒メーカーには、理論的な背骨になりうる重要な著書です。米作り一辺倒の国内農業・農村問題に大転換を促していますが、日本酒についても若干触れています。

 米を単なる原料としてしか見ていない日本酒メーカーが多い中で、米作り・苗づくりから酒造りが始まるのだと言っても、まだまだピンとこないのが現状ですが、スマート・テロワールの概念は、更に、その地域の普遍的な価値を高めるもので、日本酒のことのみに囚われた狭い考え方から私たちを解放してくれます。

 すでに米作りは当たり前で、その地域での営みそのものが魅力的であるかどうか、その一部に酒造りという仕事・日常がある。そんな理想形がイメージできるようになりました。「スマート・テロワール」は、ある意味で理論書であり、今後の私たち農村・中山間地・消滅可能性地域の進むべき道筋を指し示しています。
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